No.40 椎間板ヘルニアについてわかりやすく Part 3
今回は、椎間板ヘルニアの症状についてです。
まず、脊髄のどこで問題が起きたかで、症状の出方が違います。
椎間板ヘルニアが起こりやすい背骨の部分は、頸椎と言われる首の部分と、胸腰部(胸椎後方〜腰椎前半)です。
この部分が多いのは、身体の動きや重心から椎間板にかかる負担が大きいためだと思われます。
首の場合、首から下の部分がおかしくなるので、前肢と後肢、尾はもちろん、呼吸の時に使う神経も障害を受ける可能性があり、重度であれば死に至ります。
胸腰部では、後肢や尾がおかしくなりますが、前肢や呼吸の方は問題ありません。
次に、脊髄の障害の重症度による症状の違いです。
軽い方から、脊髄の痛み→固有位置感覚の障害→運動神経の障害→浅部痛覚の障害→深部痛覚の障害となります。
まず、脊髄自身の痛みを感じる部分は、脊髄を覆っている膜の部分にあるため、軽く脊髄に当たるぐらいが一番痛みを感じるとされています。
さらに障害が進行すると、痛みの感覚は麻痺してきてしまい、固有位置感覚が障害されます。
固有位置感覚とは、自分の身体の位置状態を把握している感覚です。主に手足がどんな位置にあるか、どの向きに曲がっているか、地面に接しているかなどです。
これがおかしくなると、歩き方がぎこちなくなったり、変なポーズで立っていたり、足の甲側を地面につけてもわからなかったりします。
次に運動神経が障害されるとよく転ぶようになったり、立ち上がれなくなったり、完全に運動神経が麻痺すると、首の場合は、手足尾が動かせなくなったり、呼吸運動も障害されるため死んでしまいます。
胸腰部の場合は、後肢と尾が動かせなくなります。
ただし、動かせなくなるのであって動かないわけではありません。
反射では動きます。
反射は、熱いものに触れるととっさに手を引っ込めるように、脳が考えずにする動きです。
動物の場合、うんちをする時に尾を上げますが、あれは反射です。
痛覚があるか調べるために肢をつねることがあります。
この時に、足が反射で動くことがあり、痛みを感じていると勘違いしてしまうことがあるため、注意が必要です。
さらに脊髄の障害が重度だと、感覚神経が麻痺して前肢や後肢の痛覚が低下します。
つねっても痛みを感じなくなってしまいます。
深部痛覚が麻痺すると、どんなひどい痛みも感じなくなってしまいます。
この重症度の流れ、実は皆さんも似たような経験したことあるんじゃないでしょうか?
実は、正座のしびれと流れは同じです。
脊髄の痛みはありませんが、しびれ始めると足を床に着いた時の感覚が鈍ってきます。
さらにひどいと足の動きがぎこちなくなります。
足首や指の1本1本を動かすことが難しくなります。
さらに、感覚が麻痺してつねっても痛みをあまり感じなくなります。
次は、診断について書こうと思います。