スタッフ日記

前回の続きです。
なぜ、繊維輪から髄核が飛び出して椎間板ヘルニアになってしまうのか。

まず、犬の中には、軟骨異栄養性犬種という品種がいます。
ダックスフントがその代表です。
数万年前にオオカミが家畜化したことを起源とされる犬が、現在までに人為的に遺伝子を選択されて、様々な犬種というものが作られてきました。
シベリアンハスキーとダックスが同じ種なのですから、自然ではあり得ないですね。
この人為的遺伝子の選択は、外見だけでなく体質にも影響を与え、犬種によってなりやすい病気というものも備わってしまいました。

その一つが、椎間板ヘルニアで、軟骨異栄養性犬種の髄核は、1〜2歳から変性し始め、だんだんと硬くなります。
椎間板の弾力が失われていってしまい、圧力を吸収しきれずに、髄核が繊維輪の外に飛び出してしまいます。
軟骨異栄養性犬種は、ダックス以外にもビーグル、シーズー、ペキニーズ、コーギーなど身近に多くおり、実はトイ・プードルも含まれます。
みんな同じ発生率を示すわけではなく、ミニチュア・ダックスが断トツに椎間板ヘルニアにはなりやすく、4頭に1頭が生涯に椎間板ヘルニアになります。
また、ダックスは首よりも腰の方がなりやすく、ビーグルは首の方がなりやすいという違いもあります。

この様に繊維輪を破って出た髄核が出てしまうものを椎間板ヘルニアのハンセンⅠ型と言いますが、繊維輪が変形をして脊髄を圧迫する場合をハンセンⅡ型と言っています。
ハンセンⅠ型は、突然に発症することがほとんどですが、ハンセンⅡ型は、徐々に痛みから始まり麻痺が出てきたりします。
柴犬や大型犬に生じやすい椎間板ヘルニアです。
次回は、症状について書きたいと思います。