No.26 最期について
前々回から人と動物の救急処置について書いてきましたが、病院であろうと救急救命処置が功を奏する確率は、それほど高くありません。
心肺停止状態を起こした場合、退院できる割合は、人で20〜30%、犬猫で4〜10%ほどとも言われています。
特に、救命処置が遅れるほど生存率は低下します。
人のデータですが、心肺停止から10分間何もされなかった場合の生存率は10%未満です。
また、心肺停止状態になった原因により、蘇生行為をする意味があるのかを考える必要もあると思います。
ショックや心筋梗塞などで心肺停止状態になってしまった場合、心拍と呼吸が再開すれば、再び元気になる可能性は十分あると思われます。
しかし、ガンや慢性腎臓病などの末期で心肺停止状態になった場合、心臓や呼吸が再び動き出しても、心肺停止になった原因が治療されていない限り、回復は見込めないでしょう。
考え方によっては、むやみに苦しみを与えるだけだという考えもあるかもしれません。
人も動物も植物も生ある者には、いつかは死が訪れます。
先日、NHKの「ドキュメント72時間」という番組を観ました。
古本屋に訪れている一人の男性に話を聞いていました。
長年にわたり母親の介護をし、母親が亡くなった後に自分のガンが発覚。
がんの手術をしたが再発してしまい、もう治療はせずに残りの時間を様々な本を読んで生きている。
どう生きたか、どう最期を迎えるか。
ペットの場合、それを決めるのは飼い主さんの務めにもなります。
そのことについて考えるのは、非常に辛く、そんなことは考えたくもないことでしょう。
ですが、ものを言えず、この人間社会では、自分で物事を決定できない存在。そして、大切な家族だからこそ、そのことについて飼い主さんがしっかり考えてあげることは、大切なことなのではないでしょうか。