N0.563 わんちゃんねこちゃんへの乾燥対策してますか?
こんにちは!
名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市の近隣にあるあま市のあま動物病院の関です。
冬場はもともと空気が乾燥しやすい上に、暖房機具によりさらに乾燥が進みます。
最近では寒がりのわんちゃんやねこちゃんも多く、暖房器具の前で暖を取ったり、コタツにもぐったりしていることも珍しくなくなっています。
犬や猫の皮膚は、人間の皮膚よりも薄くてとてもデリケートな構造をしています。
たかが乾燥と油断していると、おうちの子達が辛い思いをしてしまうかもしれませんので、気をつけましょう。
今回は、乾燥による犬猫への影響と、この時期に特に気をつけたい乾燥対策についてお伝えします。
目次
1.なぜ冬は乾燥するの?
2.乾燥による皮膚のトラブル
3.乾燥による呼吸器のトラブル
4.犬猫の乾燥対策
5.オススメ保湿剤
6.まとめ
1.なぜ冬は乾燥するの?
冬に乾燥する理由は2つ。
①空気が乾燥しているから
②暖房器具を使うことで、部屋の相対的な湿度が減るから
①空気が乾燥しているから
気温が下がるほど、空気に溶け込める水分量は下がるため、溶け込めなくなった空気中の水分は、水や氷に変わります。 寒い日に息が白くなるのも、息の中の温度では溶け込めていた水分が、身体の外の空気中の温度では空気に溶け込めなくなって空中で結露するためです。これによって空気中の水分量が減ることになるので、空気が乾燥します。
②暖房器具を使うことで、部屋の相対的な湿度が減るから
気温が上がると空気に溶け込める水分量は上がります。暖房器具を使うと部屋の気温は上がりますが、もともと水分量の少なかった空気が暖まっているため、水分は少ないままです。水分が空気に溶け込める量には、余力があるため、動物の身体の水分も空気に引っ張られて蒸発しやすくなります。そのため皮膚や鼻・咽喉が乾燥しやすくなるのです。
2.乾燥による皮膚のトラブル
皮膚の大切な機能の1つとして、外の環境から体を守るという働きがあります。
皮膚が乾燥すると、皮膚がカサカサしたりフケが増えたり、肉球や鼻などの角質がひび割れたりします。
皮膚の水分量が少なくなると、皮膚の細胞間に隙間ができやすくなり、バリア機能が低下します。
この状態になると、痒みを伝える神経線維が皮膚の表面の方へ伸びてくることがわかっています。
これにより、少しの刺激でも皮膚が痒みを起こしやすくなり、痒いと掻いてさらに皮膚が荒れたり炎症が起こってしまいます。
特にアトピーやアレルギー性皮膚炎がある場合には症状が出やすく、膿皮症と言われるブドウ球菌の皮膚感染も起こりやすくなるので、乾燥対策は必須です。
3.乾燥による呼吸器のトラブル
乾燥により、鼻、口、ノドといった呼吸器も乾燥しやすくなります。
鼻や口・ノドは粘膜でできていますが、粘膜は粘液で保護されています。
乾燥によりこの粘液が乾いてくると、外部からのウイルスや細菌に対する防御機能が低下してしまうため、冬は呼吸器感染症に感染しやすくなります。
犬の場合にはパラインフルエンザなどのいくつかのウイルスや細菌による呼吸器疾患(ケンネルコフなどと言いいます)、猫はヘルペスウイルスやカリシウイルスによる呼吸器疾患(猫風邪とか猫伝染性鼻気管炎などと言います)にかかりやすくなります。
また、粘膜が乾燥すると炎症を起こしやすくなるため、喘息などの持病の呼吸器疾患が悪化しやすくなります。
4.犬猫の乾燥対策
まずは、①部屋の加湿をすることです。
空気の乾燥が大元ですので、加湿器などを使用して部屋の湿度を高めてください。
部屋の湿度は、人でも推奨される50~60%を維持しましょう。
40%以下では乾燥し過ぎですし、60%を超えてくるとダニやカビが増えやすくなり、アトピーの症状が悪化することがあります。
②暖房器具に直接あたらせない
当院に来院する子にもストーブに直接あたったり、コタツの中に入っているというお話はよく伺います。
中にはひげがチリチリになっている子もみかけます。
暖房器具の熱さは、乾燥がひどくなるだけでなく、熱による炎症も起こすので、あたっている可愛い姿に許してしまわないでください。
③保湿をしっかりしましょう
皮膚はしっかり保湿をしてあげてください。
私たち人間でも保湿剤(化粧水や乳液など)を使うことは、男女問わずに当たり前になってきていますが、もはや動物も同じです。
動物用の保湿剤がありますので、毎日塗布してケアをしてください。
人の赤ちゃんも保湿剤で皮膚のケアをすることで、将来のアトピー性皮膚炎の発症リスクを下げられることがわかっていますが、犬猫でも昨今アトピーは増えており、症状がなくても幼齢期からの保湿の重要性が高まっています。
5.オススメ保湿剤
①モイスチャライズフォーム
メリットは、泡で出るため中程度の毛の長さ~短毛の犬猫に塗布しやすいという部分です。
スプレータイプでは、スプレーの噴射音にびっくりしてしまうことがよくあるので、そういう子にも使いやすい製品です。
デメリットは、被毛の上から塗るようにして使うため毛の長い動物では、皮膚に塗り難いというぶぶんです。毛に塗っても皮膚のケアにはつながりません。
また、大型犬で塗布する範囲が広い場合には、塗るのが大変かもしれません。
②Dog&Cat スキンケアモイスチャー
自社製品ですので、手前味噌になってしまいますが、成分は吟味して、こだわって作り上げました。
メリットは、多種類の保湿成分を豊富に含んでいるところです。
保湿成分にも多種多様なものがあります。
本製品は、日油株式会社の特許成分のリピジュアを高濃度に含んでいます。
(リピジュアのサイト)
リピジュアは、ヒアルロン酸の2倍の水分保持機能をもち、目薬などにも使われて生体との相性もよく、そしてべたつかないという機能も持っています。
その他に、5種類のセラミド(セラミドAP、セラミドNP、セラミドEOP、フィストフィンゴシン、ユズ果実エキス)、グリセリン、ヒアルロン酸、サクシノイルアテロコラーゲンなどの35種類もの保湿成分を含んでいます。フラーレン、COQ10といった抗酸化作用のある成分や、グリチルリチン酸、アラントインといった抗炎症作用のある成分も入っています。
皮膚病のわんにゃんのケアはもちろん、皮膚病になるわんにゃんを減らしていくという目的で、未病の観点から作り上げた製品です。
使用方法もシャンプー後に希釈してかけ流したり、スプレーボトルに入れて塗布したり、原液を直接塗布して使用することもできます。
デメリットは、皮膚のケアを重視したため保湿成分が豊富に入っていることで、濃度を高くして使うとしっとりして被毛のフワフワ感が落ちます。また、泡の方が使いやすいという方もいらっしゃるため、その場合にはモイスチャライズフォームをお勧めします。
どちらの製品も院内で販売しております。
Dog&Cat スキンケアモイスチャーについては、ブランドサイトでも購入することが可能です。(2/20頃に発売開始予定)
あま動物病院では、その他にも何種類もの保湿剤を置いており、その子の症状や飼い主さまの使いやすさに応じて保湿剤を処方しています。
スキンケアサロンCUOREでは、皮膚の悪いわんちゃんに対して、その子の皮膚の状態にあったシャンプーや保湿剤を選んでスキンケアシャンプーをしています。(新規のトリミングは、空きがないため現在のところお受け入れできませんが、皮膚病で通院中の子のスキンケアシャンプーは状況によって受け入れることができます。)
気になる方は、スタッフまでお問い合わせください。
6.まとめ
1.冬場は空気が乾燥するため、動物の皮膚や呼吸器も乾燥しやすい。
2.暖房器具を使うとさらに乾燥の影響が出やすくなる。
3.皮膚は外部環境から体を守っているが、乾燥でバリア機能が低下して、痒みや炎症、感染を起こしやすくなる。
4.呼吸器も乾燥することで、防御機能が低下して呼吸器感染症にかかりやすくなる。また、乾燥で炎症が起こりやすくなるので、喘息などの呼吸器の持病が悪化しやすい。
5.乾燥への対策として、部屋の適切な加湿、暖房器具との距離に注意、保湿剤をしっかり使った保湿をしましょう。