スタッフ日記

こんにちは!
名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市の近隣にあるあま市あま動物病院の関です。

皆さんは腹腔鏡という手術の機械をご存じですか?
人の医療では、低侵襲の手術の1つとして腹腔鏡手術は有名なので、ご存じの方も多いと思います。

本日は、当院でも選択肢としてご提案可能な、腹腔鏡手術についてお伝えしたいと思います。

目次

1.腹腔鏡手術とは
2.腹腔鏡手術のメリット
3.腹腔鏡手術のデメリット
4.どちらを選ぶべき?
5.当院での手術について


1.腹腔鏡手術とは

腹腔鏡(ふくくうきょう)手術は、「低侵襲手術」の一つで、体に大きな傷をつけずに手術を行う方法です。
従来の手術ではお腹を大きめに切り開く必要がありましたが、腹腔鏡手術では小さな穴(直径5〜10mm程度)を2~3数カ所開け、そこから細長いカメラ(腹腔鏡)と専用の手術器具を挿入して手術を行います。

高性能カメラが映し出す体内の映像をモニターで確認しながら、手術を進めるため、細かな作業や臓器の状態をしっかりと確認することが可能です。

動物病院では、主にわんちゃんネコちゃんの避妊手術や肝臓などの組織生検において、従来の手術方法よりもメリットが大きいため実施されることが増えてきました。



2.腹腔鏡手術のメリット

①傷が小さい
 従来の開腹手術だと肉眼でお腹の中を確認する必要があるため、ある程度大きくお腹を開く必要があります。腹腔鏡手術では、細長い棒状のカメラと手術器具を入れる穴を作るので、傷口が直径5〜10mm程と小さく済みます。

②痛みが少ない
 傷口は複数できても1つの傷が小さいことで、手術後の痛みが軽減されます。そのため、動物の痛みによる負担を減らすことができます。

③回復が早い
 従来の避妊手術では、元気食欲が戻るまでに5日前後かかることが多いですが、腹腔鏡手術では回復が早く、通常は1~3日程度で元気に動き回るようになります。

④体内の確認がしっかりできる
 高解像度のカメラを使用するため、腹腔内の状態をしっかり確認しながら手術を進めることができます。これにより、出血や他の臓器への影響を最小限に抑えられます。


3.腹腔鏡手術のデメリット

①費用が高い
 腹腔鏡手術には高度な設備や技術が必要なため、従来の手術に比べて費用が高くなります。

開腹手術に切り替えが必要になることがある
 高解像度のカメラで臓器を拡大して見られるため、臓器の構造を確認し、出血を抑えられるというメリットがある半面、出血があった場合に開腹手術では大したことのない出血でも腹腔鏡手術ではカメラの視野が妨げられてしまい、結局開腹に切り替えになることがあります。

③対応している病院が限られている
 腹腔鏡手術には特殊な機器やトレーニングを受けた獣医師が必要なため、すべての動物病院で実施できるわけではありません。

4.どちらを選ぶべき?

獣医療では、主に避妊去勢手術やお腹の中の生検、乳び胸の手術などで選択肢として選べるようになってきました。
腹腔鏡手術には、上に記したメリットとデメリットがありますので、以下のポイントも参考に飼い主さまが納得する方を選ぶことが大切です。
・痛みやストレスを最小限に抑えたい場合 → 腹腔鏡手術がおすすめ
・費用を抑えたい場合 → 従来の開腹手術がおすすめ

5.当院での手術について

腹腔鏡の導入に当たり、実習や講習会への参加、岐阜大学の腹腔鏡の先生を招聘してのレクチャーを受け実施しております。
腹腔鏡による避妊手術についても従来の避妊手術同様に1泊入院で、しっかりと点滴や翌日の痛み止めの投与を実施します。
費用は、通常の避妊手術に27,500~35,200円が追加でかかって参ります。(2024年12月時点)

詳しくは、避妊手術の術前検査の際にご説明させていただいております。