No.567 今の時期は要注意!ペットの関節炎
こんにちは!
名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市の近隣にあるあま市のあま動物病院の獣医師の関です。
寒い季節になると、関節炎を持つペットは特に痛みを感じやすくなります。
慢性関節炎は、完治することが難しく、症状の緩和や進行抑制のために日頃からのケアがとても重要です。
本記事では、関節炎のペットが快適に過ごせるようにするための対策やケア方法をご紹介します。
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【目次】
1. 犬猫の慢性関節炎とは?
2.慢性関節炎の主な症状
3.関節炎の対策
3-1 生活環境を整える
3-2 食事とサプリメントの活用
3-3 マッサージと温熱療法
3-4 動物病院での診察
4.まとめ
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1. 犬猫の慢性関節炎とは?
慢性関節炎(変形性関節症)は、関節の軟骨が徐々にすり減り、炎症や痛みを引き起こす疾患です。
加齢や遺伝、肥満、過去のケガ、膝蓋骨脱臼などが原因となることが多く、進行すると関節の可動域が制限され、運動能力が低下します。
2.慢性関節炎の主な症状
・歩き方がぎこちない
・床から立ち上がるのに時間がかかる
・階段の昇り降りを嫌がる
・散歩の時間が短くなった
・関節周辺を触ると嫌がる
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3.関節炎の対策
3-1 生活環境を整える
関節痛を持つペットが快適に過ごせるよう、以下の環境改善を行いましょう。
○防寒対策をする:寒い環境では、筋肉や関節自身もこわばってしまい、関節の動きを制限するとともに、痛みも感じやすくなります。
・部屋を暖かくする。
・寒い日は、少し暖かくなってから散歩に行く。
・外に行く時は服を着せる。
・暖かいクッションや毛布を敷いてあげる。
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○滑りにくい床にする:フローリングは滑りやすく、関節に負担をかけるため、カーペットや滑り止めマットを敷く。ペットが滑らないようにするためのフローリング用ワックスもあります。
○段差を減らす:ソファやベッドの昇り降りが負担にならないよう、昇れない環境にする。スロープやステップを設置するという方法もありますが、せっかく設置しても意外と使わないなんてことも。。。
○適度な運動を取り入れる:無理のない範囲で軽い運動を行い、筋力を維持する。動かないと関節も固まってしまうので、適度な運動はとても大切です。
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3-2 食事とサプリメントの活用
関節の健康をサポートする食事やサプリメントを取り入れるのも効果的です。
・グルコサミンやコンドロイチン:関節の軟骨を保護する成分。
・オメガ3脂肪酸:抗炎症作用があり、関節の痛みを軽減する効果が期待できる。
・適切な体重管理:体重が増えると関節への負担が増すため、適切な食事管理を行う。
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3-3 マッサージと温熱療法
血行を促進し、関節の痛みを和らげるために、マッサージや温熱療法を取り入れるのもおすすめです。
・マッサージ:やさしく関節周辺をなでるようにマッサージし、筋肉の緊張をほぐす。
・温湿布やホットパック:温めることで血行を良くし、痛みを軽減する。
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3-4 動物病院での診察
関節痛は慢性的な疾患になりやすいため、定期的に動物病院で診察を受けることが重要です。
・関節の状態のチェック:明確に痛がったり、びっこをひいたりしていなくても、関節炎になっていることもあります。関節の状態を獣医師が確認することで、早期発見早期治療につなげましょう。
・痛み止めや抗炎症薬の処方:鎮痛消炎剤を使用することで、動物の痛みが和らいで生活が楽になります。また、痛みが和らぐと動けるようになるため、適度な運動をしやすくなり、筋力維持や関節が固まるのを予防にもつながります。
鎮痛消炎剤も様々なものがあります。飲み薬や注射薬、1回の使用で1カ月効くもの、副作用のとても弱いものなど。
・温熱療法、光線療法:レーザーや近赤外線などの医療機器を使用して、関節炎の緩和をすることができます。当院でもスーパーライザーという人の医療でも使われている近赤外線機器を使用しています。
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4. まとめ
関節炎を持つペットには、生活環境の改善や適切な食事、状態に合わせた治療が大切です。
慢性関節炎は完治するものではありません。痛みがずっと続くのは、とても辛いものです。
でも、悲観的になることはありません。
高齢の犬猫の多くが慢性関節炎となります。それだけ長生きをしてくれているということです。
そして、適切なケアで症状を和らげたり進行を抑えていくことができます。
時にはお薬を使うことで、その子の生涯をより良いものにできると思います。
お困りの方は、ぜひご相談ください。
寒い季節でも元気に過ごせるよう、一緒にケアしていきましょう!