犬のメラノーマの原因と症状、治療法について解説
あま市、名古屋市、津島市、稲沢市、清須市、大治町のみなさん、こんにちは!
あま市のあま動物病院です。今回は犬のメラノーマの症状や原因、治療法などについて獣医師が詳しく解説していきます。
メラノーマとは?
メラノーマは悪性黒色腫とも言われ、黒っぽい見た目が特徴的な悪性腫瘍です。
メラノーマは皮膚をはじめとして四肢、口腔粘膜、爪の付け根によく見られます。
無色素性メラノーマや乏色素性メラノーマも存在するため、必ずしも黒い見た目をしていないことにも注意が必要です。
メラノーマの症状
メラノーマの症状としては以下の様なものが挙げられます。
・歯肉や唇、舌、口腔内などのしこり
・口臭
・口からの出血
・爪の付け根のしこり
・しこりの表面が炎症を起こし、出血している
・しこりの大きさがどんどん大きくなっている
メラノーマは、リンパ節や肺に転移するケースがとても多く、早期治療が必要になります。上記の様な症状が見られる場合には早めに動物病院で獣医師の診察を受ける様にしましょう。
メラノーマ の原因
メラノーマは粘膜や皮膚などに存在するメラノサイト由来の腫瘍です。発症に関する原因は明確にはわかっていません。
高齢の犬の発症が多く、中でもメラノーマが発症しやすい犬種としてはスコティッシュテリアやミニチュアシュナウザー、ゴールデン・レトリバー、ドーベルマン・ピンシャー、アイリッシュセッター、ボクサー、ジャーマンシェパード、プードル、ミニチュアダックスフンド、チワワ、コッカースパニエルなどが報告されています。
基本的に性別による発症率の差はあまりありません。10歳以上の高齢犬で発症リスクが高まりますが、若い犬でも発症することはあります。
メラノーマの診断
メラノーマの診断には身体検査や細胞診、血液検査、レントゲン検査、CT、MRIなどが必要になります。
身体検査では体全体を観察し、腫瘍を形成している部位を探します。
細胞診は針を腫瘍に刺して腫瘍組織の一部を採取し、腫瘍細胞を観察します。必要に応じて病理検査会社に外注する場合があります。
血液検査では全身状態を確認します。治療の選択肢を考えるのに必要な検査です。
レントゲン検査では胸や腹部のへの臓器への転移はないか、外科手術を行う場合には麻酔をかけても大丈夫な状態かを判断するのに必要です。
CT、MRIは外科手術を検討している場合に必要なときがあります。腫瘍の浸潤などを確認することができます。他臓器への転移も確認できます。CTやMRIを実施できる施設は限られているため、二次診療施設や大学病院への紹介が必要になる場合もあります。
メラノーマの治療
メラノーマの治療では、外科手術や放射線治療、化学療法などが考えられます。それぞれの治療の特徴は下記の通りです。
・外科手術
他臓器への転移がなく、大きさも小さく、浸潤性の少ないメラノーマの場合は、外科処置での腫瘍切除が行われることがあります。きれいに取り除くことができれば、とても有効な治療法になります。
・放射線療法
放射線を腫瘍に照射して、腫瘍を小さくしたり、進行を遅らせたりします。1回の照射で治療が終了することは少なく、多くの場合は複数回の照射が必要になります。放射線療法を実施できる施設は限られるため、大学病院などへの紹介が必要になります。治療費は高額になることがほとんどです。
・化学療法
抗癌剤による治療を行います。抗がん剤治療にも様々な方法があり、費用や治療期間もそれぞれ異なります。
メラノーマの予防
メラノーマは基本的に予防できません。
早期発見のために、メラノーマが発生しやすい皮膚や口腔内、四肢、爪の付け根などを日頃からよく観察してあげましょう。メラノーマは口の中にできることも多いため、歯磨きなどの際に口の中をよく観察してあげることも大切です。メラノーマが疑われるような症状があれば、早めに獣医師の診察を受け、早期治療を心がけましょう。