疾患紹介

愛知県あま市、名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市、三重県の皆さまこんにちは。
愛知県あま市のあま動物病院、獣医師の関です。
3回目の今回はFIP(猫伝染性腹膜炎)の治療について解説します。

4.  FIPの治療方法について

コロナ禍以前は、有効な治療法がなく、発症したら治すことができない不治の病でした。
しかし、近年では人のコロナウイルスの薬の開発とともにFIPが完治した報告が多く出てきました。
その薬は、GS-441524やMUTIAN、CFNという薬で、いずれも動物薬で承認を得ている薬ではありませんが、完治した例が数多く報告されています。
しかし、これらの薬は入手が困難であったり治療費が高額(100~150万円ほど)になり、治療を選択できない飼い主さまも少なくありませんでした。
当院でも数年前からGS-441524を使用して治療しておりましたが、しっかりと続けて使用することで良好な成績が出ています。ただ、調子が良くなったことで費用の負担等で、途中で治療を離脱してしまい、再燃して亡くなってしまうこともあり、悔しい思いもしておりました。


そこから、さらに薬の開発が進み、新型コロナウイルスの治療薬であるレムデシビルやモルヌピラビルによる治療で、良好な経過をたどっているケースが多く報告されるようになってきました。
これらの薬は、GS-441524やMUTIAN、CFNという薬と比べて入手がしやすく、価格も抑えられています。
これにより、FIPの治療は、まだ安価とは言えませんが、多くの方が治療を選択できるようになってきています。


5.当院のFIP治療について

当院でも現在は、モルヌピラビルによる治療を中心におこなっております。
2023年にあった論文報告で、成績が良かった治療計画に基づいて投与量や頻度を決定しています。
検査を含めた治療費が、およそ30~50万円ほどで可能となってきています。(体重や症状により使う薬の量、支持療法の有無、検査の頻度が変わるため診療金額に大きく幅が出ます。)

FIPの治療はここ数年で一気に進展しています。
もしFIPと診断された場合でもあきらめずに、ご相談ください。